日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
6週間の抗生剤治療後の手術にて術中脳出血をきたした感染性心内膜炎の1例
加藤 寛城瀬口 龍太牛島 輝明渡邊 剛
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キーワード: 感染性心内膜炎, 脳出血
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2014 年 43 巻 2 号 p. 88-91

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抄録
症例は,40歳,男性.主訴は発熱.心エコー検査にて,疣贅を伴う重症僧帽弁閉鎖不全症を認めた.血液培養検査ではStreptococcus salivariusが検出され,抗生剤投与(ペニシリンG+ゲンタマイシン)を6週間継続した.手術10日前の頭部MRI検査においては,新鮮な脳梗塞や脳出血,感染性脳動脈瘤の所見は認めていなかった.手術は,機械弁を使用し僧帽弁置換術を施行した.手術室にて抜管したが,左片麻痺を認めた.頭部CTでは,右視床出血ならびに左小脳出血を認めた.翌日に,脳室ドレナージ術ならびに小脳血腫除去術を施行した.感染性心内膜炎においては,感染性脳動脈瘤を認めなくても,化膿性血管炎や微小脳梗塞,抗生剤使用に伴う凝固障害などにより脳出血のリスクが高い状態であるため,厳重なactivated clotting time(ACT)管理や術直前の頭部MRIなどが必要なのではないかと考えられた.
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