抄録
重症大動脈弁狭窄症の女性患者に,Apico-Aortic Bypass(左室心尖部-下行大動脈バイパス)を施行した際に,術中に作製した弁付きグラフトを逆位に縫着した.翌日の再手術時に正常位置に修復したが,最終的に呼吸不全に陥り,第74病日に死亡された.第16病日に多職種参加による院内検討会を行い,ヒューマンファクターの観点から多角的に検討し,システム上の再発防止策を立案した.患者家族には謝罪とともに検討会内容を説明し,報告書も手交した.全経過を通して組織としての責任を認め,真摯な対応を心がけた.