2022 年 51 巻 4 号 p. 197-203
[目的]心臓血管外科領域の手術後の患者を対象に,予後予測におけるSOFAスコアの有用性を検証する.[方法]2019年8月から2020年12月に心臓,胸部大動脈の手術後,ICUに入室となった123例を対象に後方視的に観察研究を行った.在院死亡および転院に関して前半60例(Derivation群)の入室当日から術後3日目までのSOFAスコアのカットオフ値を算出し,その数値を後半63例(Validation群)に適用し,スコアの妥当性について検証した.また,他のスコアリングシステムとの比較のため,Japan SCOREに関しても同様にDerivation群において在院死亡および転院に関するスコアのカットオフ値を算出し,Validation群に適用してスコアの妥当性を検証した.[結果]周術期死亡は6例,在院死亡は9例で,99例が自宅退院,15例が転院となった.在院死亡に関するカットオフ値の感度,特異度は術後2日目で100%,81%,術後3日目で100%,95%で,術後2日目以降に高値となった.転院に関するカットオフ値の感度,特異度は術後2日目で57,67%,術後3日目で71,67%であった.[結論]心臓,胸部大動脈の手術後の早期予後予測に関して,在院死亡を予測する上でSOFAスコアは有用であり,特に術後2日目のスコアが指標となる可能性が示唆された.