2022 年 51 巻 6 号 p. 345-349
心外膜ペーシングワイヤーに関連した合併症の発生率は約0.09~0.4% と報告されており,時に血管内や気管内への迷入,感染性心内膜炎や敗血症といった重篤な合併症を引き起こす.今回,心臓手術後に心嚢内に遺残した心外膜ペーシングワイヤーが肺動脈内へ迷入した症例を経験した.症例は66歳男性で,6年前に狭心症に対して冠動脈バイパス術を施行し,心外膜ぺーシングワイヤーを右室前面に縫着した.術後8日目にペーシングワイヤーの抜去を試みたが抵抗があり,皮膚直上で離断した.術後6年目にCTで偶発的にペーシングワイヤーの肺動脈内への迷入を認めたため,経カテーテル的にペーシングワイヤーを抜去した.心臓術後に心外膜ペーシングワイヤーが心嚢内に遺残した場合には定期的な画像フォローを行い,関連する合併症の発生に注意が必要である.