日本心臓血管外科学会雑誌
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[末梢血管]
右鎖骨下動脈への中心静脈カテーテル誤挿入に対し血管内治療を施行した1例
梅田 璃子中島 智博伊庭 裕保坂 到大川 陽史安田 尚美柴田 豪川原田 修義
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2022 年 51 巻 6 号 p. 368-371

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抄録

症例は88歳男性.右腎盂癌に対し腹腔鏡下右腎尿管摘除術後に,誤嚥性肺炎と敗血症を発症した.中心静脈栄養のために,右内頸静脈から外径12Gの中心静脈カテーテル(CVC: Central Venous Catheter)が留置された.翌日,点滴接続の際に拍動性の逆血を認め,造影CTにて右内頸静脈から挿入されたCVCが右鎖骨下動脈に穿通し,CVC先端は上行大動脈内に達していた.圧迫止血,経皮的止血デバイスによる止血.直視下止血,血管内治療を対応として検討したが,われわれは血管内治療を選択した.全身麻酔下に右腋窩動脈アプローチで末梢用ステントグラフトGORE® VIABAHN® VBXを留置し,周術期に合併症を認めずに経過した.CVC留置に伴う動脈挿入を起こした際には血管外科医へのコンサルテーションが推奨され,治療方針に関する明確な指針は存在しない.動脈穿通部位,血管走行,年齢や合併症,全身状態などを考慮し,十分な検討をした上で適切に治療法を決定できたと考えられる.

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