2024 年 53 巻 2 号 p. 87-90
症例は70歳の通院歴のない男性.20XX年X月X日の夜に嘔吐され,翌日,四肢の脱力感と腹痛を主訴に前医を受診された.腹部単純CT検査で腹部大動脈瘤破裂が疑われ当院へ救急搬送された.当院での造影CT検査で,血栓閉塞型のB型大動脈解離と腹部大動脈瘤破裂(ruptured abdominal aortic aneurysm; rAAA)と診断され同日緊急手術を行った.腹部大動脈瘤は最大短径で70 mm以上あり,腎動脈から腹部大動脈瘤までは40 mm以上あった.一方で,大動脈解離は腹部大動脈瘤まで進展していたが,血栓閉塞型であったので腹部大動脈内ステントグラフト内挿術(EVAR)を行った.ICU入室後に膀胱内圧が23 mmHgと高値を示し,尿量も減少したため,abdominal compartment syndrome(ACS)と判断し緊急で開腹減圧術を施行した.第2病日には閉腹でき,第3病日に抜管できた.第8病日にICUを退室し,第38病日にリハビリ転院した.今回われわれは,血栓閉塞型急性B型大動脈解離に併発したrAAAの症例に対して救命できた症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.