2024 年 53 巻 3 号 p. 147-150
A型急性大動脈解離に外腸骨動脈破裂を併発したきわめて稀な1例を経験した.症例は67歳・男性.突然の胸痛を訴え他院へ救急搬送となった,CT検査で急性大動脈解離と診断され,当院へ搬送された.CT画像では上行大動脈から両側腸骨動脈に及ぶ解離と左外腸骨動脈周囲に血腫を認め,左外腸骨動脈破裂を合併したA型急性大動脈解離と診断した.破裂に対してまず血管内治療(ステントグラフト内挿術)を行い,患者家族にリスクを説明した上で,一期的には治療せず翌日に上行大動脈置換を行った.患者は耐術し術後39日目にリハビリ病院へ転院となった.