抄録
4年前に人工血管感染症による敗血症のため,僧帽弁再置換,三尖弁弁輪形成,およびY型人工血管再置換を受けた44歳男性が,人工血管の再感染による敗血症を繰り返した後に,大量の下血,敗血症およびショックを伴ったgraft-enteric fistulaを発症した.血管造影にて人工血管-右外腸骨動脈吻合部に仮性動脈瘤の形成が疑われ,緊急手術(人工血管部分切除,仮性動脈瘤切除,左外腸骨動脈-右大腿動脈バイパス)により,救命しえた.Graft-enteric fistulaの発症機序,診断および治療について考察を加えた.