日本心臓血管外科学会雑誌
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脳分離体外循環中,静脈洞血栓症により二次的脳虚血をきたした1症例
白石 恭史前田 肇数野 博今脇 節朗
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1990 年 19 巻 4 号 p. 587-590

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抄録
弓部大動脈瘤に対し,脳分離体外循環を用いて弓部置換術を行ったが,頭蓋内静脈洞血栓症に続発し,脳浮腫をきたした1例を経験した.これはSwan-Ganzカテーテル挿入に際して再三の右内頸静脈穿刺によって右内頸静脈内膜を損傷し,それが誘因となって形成された内頸静脈血栓が横静脈洞から反対側のS状静脈洞にまでおよび,頭蓋内圧の上昇につながったまれな症例である.右橈骨動脈圧と左大腿動脈圧を術中モニターとした.脳灌流量は,中等度低体温(26.5℃)下で500~800ml/分と,現在脳灌流量としてはほぼ合意の得られている条件であった.脳分離体外循環を行う際,注意すべき症例と考えられるので,その詳細につき報告する.
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