日本心臓血管外科学会雑誌
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受傷後約30年目に手術を施行した外傷性収縮性心膜炎の1例
渡辺 正明浜田 修三板橋 邦宏星野 俊一
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1992 年 21 巻 1 号 p. 68-72

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抄録

術前その原因が結核性か外傷性か同定できなかったが, 術中所見および病理学的検討にて外傷後の心タンポナーデが主因と考えられた収縮性心膜炎を経験したので報告する. 症例は52歳の男性. 約30年前に左胸部を刺され, 心タンポナーデに陥り約2か月入院し軽快退院した. その後症状がないため放置していたが術後約25年後に全身倦怠感, 浮腫が出現し, 諸検査にて収縮性心膜炎と診断された. 内科的療法を施行したが症状の改善が認められないため, 約30年後に心膜剥皮術を施行し, 症状の改善を認めた. 受傷後30年経過した遠隔期に収縮性心膜炎の発症をみたことは興味深く, 外傷後の心タンポナーデに対し, 積極的なドレナージの重要性を痛感した.

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