日本心臓血管外科学会雑誌
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皮膚小切開,腹膜外到達法による腹部大動脈手術の検討
木山 宏今関 隆雄入江 嘉仁村井 則之垣 伸明権 重好斎藤 政仁汐口 壮一
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2003 年 32 巻 6 号 p. 325-328

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抄録

低侵襲を目的に10cm以下の皮膚小切開,腹膜外到達法で,腹部大動脈領域の手術を行い,その手術成績を検討した.2001年5月から2002年3月までに10cm以下の皮膚小切開,腹膜外到達法で試みた腹部大動脈瘤11例,総腸骨動脈瘤2例,閉塞性動脈硬化症5例の合計18例を対象とした.1例は皮膚切開を延長したが,そのほかの17例は皮膚切開を6~10cm(平均8.3±1.4cm)で手術を完遂させた.手術時間,出血量の平均値はそれぞれ275.2±62.9分,968.5±473.8mlで,歩行開始と経口摂取開始の平均値はそれぞれ1.4±0.9日と1.6±0.5日だった.全例が手術室で抜管し,入院期間中は無他家血輸血で経過した.イレウスなどの重篤な合併症はなく,平均12.8±5.6日の術後入院期間で,全例軽快退院した.皮膚小切開,腹膜外到達法で行った腹部大動脈領域の手術は有効な低侵襲手術と考えられた.

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