日本心臓血管外科学会雑誌
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塩酸バンコマイシン(VCM)投与中に遅発性過敏反応を示した開心術後メチシリン耐性ブドウ球菌感染症4例の検討
鈴木 仁之金光 真治徳井 俊也金森 由朗木下 肇彦
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2005 年 34 巻 3 号 p. 190-193

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抄録

開心術後MRSAおよびMRSE感染症に対して,VCM投与中に遅発性過敏反応を示した4例を経験したので報告する.症例1はARに対してAVRを施行したのちに敗血症,前縦隔炎を発症した.症例2はCABGを施行したのちに前縦隔炎を発症した.症例3は感染性心内膜炎に対してAVRを施行したのちに肺炎を発症した.症例4はCABGを施行したのちに敗血症を発症した.いずれもVCM投与によりいったんは感染が鎮静化したが,VCM投与後12~13日目に突然の発熱・発疹・好酸球増加を認め,VCM投与中止により諸症状は軽快した.文献上VCMによる遅発性過敏反応の報告も散見されるため,長期に使用せざるをえない場合には,好酸球の推移に注意して感染との鑑別を行って使用するべきである.

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