抄録
症例は68歳,女性.2003年5月26日に呼吸困難を主訴に救急受診した.喘鳴が著しく,検査で白血球増多とCRP上昇を認めた.胸部X線上,肺炎や心不全像はなく,気管支炎に伴う喘息重責発作として内科で薬物療法が行われたが,呼吸困難は増悪した.29日のCTで巨大な腕頭動脈瘤による気管圧排と診断された.CT終了時に突然窒息症状をきたし,人工呼吸下に当科に紹介された.5月30日に手術を施行した.近赤外線で脳実質の酸素飽和度をモニターし,補助循環を使用せずに瘤切除,右総頸・鎖骨下動脈再建術を施行した.術後経過は良好で,第14病日に内科へ転科した.病態として,動脈瘤切迫破裂に伴う急速拡大により気管が圧迫され窒息したと推察された.