日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
両側巨大多発性腎嚢胞を伴う腹部大動脈瘤手術の1例
四方 裕夫黒瀬 公啓小畑 貴司飛田 研二森山 学森田 展代坂本 滋鈴木 孝治松原 純一
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 35 巻 4 号 p. 251-254

詳細
抄録

腹部動脈瘤の手術のさいに偶然指摘される小さな嚢胞も含めると,腎嚢胞を合併する腹部動脈瘤は希ではないと思われるが,本邦での腎嚢胞あるいは嚢胞腎を伴った腹部大動脈瘤手術の報告はきわめて少ない.大きな腎嚢胞は動脈瘤の手術中に腎嚢胞が破裂・出血の報告もあり,さらに手術操作に支障をきたすこともあり,なんらかの対策が必要である.今回,77歳,男性の腹腔を圧迫する両側巨大多発性腎嚢胞を合併した腹部動脈瘤に対して,術前に巨大な両側腎嚢胞を超音波ガイド下に経皮的に穿刺吸引を行い約1,550mlを除去した.3日後,5.2cmの大動脈瘤と3.0cmの左総腸骨動脈瘤,2.6cm右総腸骨動脈瘤に対して腹部正中切開,腹膜外到達法で動脈瘤切除+Y字型人工血管置換術を施行した.術後経過は順調で,巨大な嚢胞性腎疾患を合併する腹部動脈瘤に対し経皮的穿刺内容液吸引は有用な方法であった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top