歯科材料・器械
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原著
リン酸カルシウム系結晶化ガラスの表面性状とStreptococcus mutansの付着性に関する実験的研究
佐川 寛一
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1991 年 10 巻 1 号 p. 102-116

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抄録

歯冠修復材料として用いられるリン酸カルシウム系結晶化ガラス, 12%金銀パラジウム合金および光重合型歯冠用硬質レジンの表面性状について2次元および3次元的に観察した.これらの表面にStreptococcus mutans OMZ175株を付着させた場合の初期の細菌付着様相についてSEMで観察し, 全自動画像解析装置で付着面積を測定し, さらに人工プラークの脱離率についても検討を加えた.その結果, 結晶化ガラスにおける仕上げ研磨の表面粗さは金パラより大きいものの硬質レジンよりも小さかった.結晶化ガラスに対するStreptococcus mutansの付着細菌数は, 他の2試料に比べ唾液未処理および唾液処理の場合ともに減少した.さらに, 材料の表面粗さと付着細菌数との間には相関性が認められなかった.また, SEM観察における細菌の付着様相は, 結晶化ガラスでは硬質レジンに比べ散在する傾向にあった.結晶化ガラスの人工プラークの脱離抵抗性は, 他の2試料に比べて低かった.以上の結果から, 結晶化ガラスは細菌が付着しにくく, 人工プラークが脱離しやすい傾向のある材料であった.

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© 1991 一般社団法人 日本歯科理工学会
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