抄録
ジメタクリレートをマトリクスとし, 熱伝導率の異なるシリカ, ステンレス鋼および銀の粉末をフィラーとし, その含有量を変化させた一連のコンポジットレジンを作製して, それらの熱的性質について検討した.供試したフィラーは, いずれもジメタクリレートより熱伝導率が高いため, フィラー含有量が増加するに従って熱拡散率と熱伝導率は上昇し, 比熱容量は低下した.熱伝導率については, Y.AgariとT.Unoにより提案された法則すなわち, 修正された複合則が適用されるものと考えられた.しかし, 銀をフィラーとした場合はマトリクスとの密度の差が大きく, またフィラーの分布が均一でないため, 上述の複合則は適用できなかった.