歯科材料・器械
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原著
有機官能基および加水分解性官能基の違いによるシランカップリング剤の処理効果と耐水性
倉田 茂昭山崎 升
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1992 年 11 巻 6 号 p. 916-921

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抄録
シランカップリング剤の有機官能基および加水分解性基の種類と数を変え, その分子構造が処理効果と耐水耐久性に及ぼす影響を, 処理ガラス面に対するレジンの接着強さにより検討した.有機官能基にビニル基あるいは3-メタクリロキシプロピル基をもち, 加水分解性基にイソシアナトおよびクロル基のような反応性の高い基をもつ三官能性シランの処理では, 高い接着性と良好な耐水性を示す.しかしながら, 反応性の低い加水分解性基をもつ3-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランや, 加水分解反応性は高いが, その官能基数を一つあるいは二つもつ3-メタクリロキシプロピル-メチルジクロロシランおよび-ジメチルクロロシラン処理の場合, 60日水中保存後における接着強さは, 高い処理効果を示すものの, 熱サイクル2, 000回負荷後の接着強さは, かなりの低下が見られた.またビニルトリアルコキシシランには, 処理効果が認められなかった.以上のことから, 高い処理効果と耐水性を示すシラン処理剤は, 反応性の高い加水分解性官能基をもつ三官能性シランが有効であり, そのようなシランは, 材料表面や大気中の水により, すみやかに加水分解し, 材料表面のシラノール基と反応するだけでなく, 相互に架橋したシロキサン多分子層の形成により, 高い処理効果と耐水性を示すと考えられる.また, 処理層の耐水性を向上させるためにシリコン原子上の加水分解性基をメチル基のような疎水性基で置換すると処理効果の低下を招き, 耐水性は改善されない.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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