歯科材料・器械
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原著
スルフィド結合を有するモノマーにより表面処理した歯科用合金に対するMMA-PMMA/TBBOレジンの接着性
門磨 義則小島 克則
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1992 年 11 巻 6 号 p. 940-946

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抄録
スルフィド結合を有するモノマーである10-(メチルチオ)デシルメタクリレート(MTD)を金属に対するレジンの接着強さを向上させるための表面処理に用いた.1mole%のMTDをMMA, エタノール, 1, 4-ジオキサンに溶解させて3種の表面処理剤とした.金属に対して, (1)研磨, 洗浄処理, (2)MTDモノマー処理, (3)60℃の水中への浸漬処理を実施した.処理した金属に対するMMA-PMMA/TBBOレジンの引張接着強さを水中での2, 000回の熱サイクルの後に測定した.また, 様々な処理後の金属表面に対する水の接触角も求めた.引張試験からはMTD処理によって貴金属合金に対するレジンの接着強さが向上することが明らかとなった.銀合金を除いて, MTD処理の後に(3)処理を行うことで, 金属表面の接触角は増大した.これは, MTDモノマーが脱着し, 接着の長期安定性を欠いていることを示唆していると思われる.接着強さは凝集破壊の程度と高い関連性が認められたが, 接着レジンの厚さには依存しなかった.これらのことから, 接着強さを向上させるためのMTD処理は貴金属合金に応用できるが, 長期的な耐水性を得るためにはさらに改良を加える必要があると考えられる.
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© 1992 一般社団法人 日本歯科理工学会
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