抄録
飲食物類似溶液として, アルコール水溶液, クエン酸水溶液, サラダ油および蒸留水を選択し, これらの溶液に浸漬してコンポジットレジンの諸性質の経時的変化を500日にわたり調べた.溶液の吸収率は, アルコール水溶液, クエン酸水溶液および蒸留水では供試したコンポジットレジンでほぼ同様の値を示したが, サラダ油はこれらの溶液の吸収率の1/3〜1/4であった.これらの溶液浸漬によって, マトリクスレジンは, 初期には溶液を吸収して可塑化するため, 100日後には曲げ強さは上昇する傾向にあった.とくにサラダ油はその効果が著しかった.500日後にはアルコール, クエン酸水溶液ならびに蒸留水ではフィラー・マトリクス界面の結合を低下させ, コンポジットレジンの機械的性質の低下原因となることが示唆された.