抄録
人工歯根用インプラント材であるチタンと種々の高分子化合物の接着性を引張せん断強度試験により評価したところ, エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVA)が優れた接着強度を有することが示された.これは, EVAが水酸基をもつ親水性ポリマーであるからと考えられる.また, その水酸基のため, EVA表面にオゾン酸化によるカルボキシル基の導入が容易であり, 細胞接着性タンパク質であるコラーゲンの固定化量も任意にコントロールできることがわかった.このため, チタン上での歯根膜細胞の培養が可能となり, 歯根膜を有する新しい人工歯根開発の可能性が示唆された.