抄録
本研究の目的は,修復用レジンを用いた修復物辺縁部に対する咬頭滑走試験を行い,近縁部の変化を経時的に評価することである.試料は,修復用レジン,ヒトエナメル質およびレジン系合着材を使用して,修復物辺縁部を再現したものを作製した.咬頭滑走試験は,ストローク式摩耗試験器を用いて,荷重5.9N,ストローク回数1,000回まで行った.摩耗面の評価は,走査レーザー顕微鏡を用いて摩耗深さおよび断面形状の経時的変化を観察するとともに,試験終了後には,走査電子顕微鏡で観察して行った.その結果,摩耗表面形状は,エナメルでは縁端に斜面化が著明に観察された.一方,修復用レジンでは縁端の斜面化は観察されなかった.以上のことから,辺縁部を構成する修復用レジン,ヒトエナメル質およびレジン系合着付はそれぞれ特徴的な摩耗をすることが明らかとなった.