抄録
表面にダブルディンプルが付与されたADSインプラントとスクリュー型の2種類のインプラントを有限要素法により応力解析し,比較検討を行った.下顎骨モデルは日本人有歯下顎骨の平均値を用い,第一臼歯部に埋入したと仮定した.荷重条件は側方力の影響を見るため60゜傾斜方向からとし,インプラント頂部に100N加えた.界面条件は骨結合の状態と,オッセオインテグレーションが失われた場合を想定し骨接合の状態を与え,滑りとした.また臨床上しばしば見られるインプラントネック部の骨欠損の影響を比較検討するため,骨欠損モデルを構築した.解析の結果ディンプル型の最大応力値はスクリュー型に比べ骨結合状態では25.3%,骨接合状態では21.9%小さかった.骨欠損モデルでは骨結合状態では20.9%,骨接合状態では7,5%小さかった.この結果からディンプル内に入り込んだ骨組織が荷重負担に関与し,応力を緩和させていることが示唆された.