2009 年 28 巻 3 号 p. 161-167
いわゆる「ノンクラスプデンチャー」と称される熱可塑性樹脂(ナイロン系樹脂:VLP,ポリカーボネート樹脂;PCB,アセタール樹脂:ACT,ポリエチレンテレフタレート系樹脂:EST)の基礎的物性を加熱重合アクリルレジン(PMMA)と比較して評価した.曲げ強さ,曲げ弾性係数はPMMAと比較してPCBとESTは約2/3,VLPとACTは約1/3であった.歯ブラシでの摩耗量はPMMAと比較するといずれの製品も1/5以下であった.化学重合型アクリルレジンとのせん断接着強さはPMMAと比較してPCBとESTは1.5倍であったが,VLPとACTはほとんど接着していなかった.着色試験ではコーヒー浸漬の色差はいずれの試験片も5以下であり,カレー浸漬ではVLPとESTの色差は10以上を示した.吸水量はVLPとESTは他の製品より大きいもののPMMAの約1/3であった.溶解量はPMMAより小さな値であった.