歯科材料・器械
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原著
陶材焼付用88Au貴金属合金の諸性質に対するFe, In, Sn添加の影響 : (第1報)熱膨張係数
中山 正彦安藤 進夫西川 良子
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1984 年 3 巻 1 号 p. 13-25

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抄録
金88%の貴金属合金に鉄, インジウム, スズを単独あるいは複合して1重量パーセント添加し, 15種の合金を試作した.各々の合金から2本の熱膨張測定用試料を鋳造し, 熱膨張率(%)と熱膨張係数を決定した.測定最高温度は970℃である.熱膨張係数は, 200℃の温度区間(室温〜200℃, 200〜400℃, 400〜600℃, 600〜800℃, 800〜970℃)に区切り, 各温度区間内で直線回帰によって決定した.800℃以下では, 熱膨張係数は添加元素組成の影響を受けなかった.この合金系の平均の熱膨張係数は, 12.9×10-6/℃(室温〜200℃), 14.6(200〜400), 15.6(400〜600), 17.3(600〜800)であった.800〜970℃の温度範囲では, 熱膨張係数はインジウムあるいはスズの組成の影響を強く受け, とりわけサイクル1回目加熱時において著しかった.熱膨張係数を決定するいくつかの方法を比較した結果, 合金と陶材の熱膨張係数を比較するためには, 我々の方法は便利で合理的であるとの結論を得た.
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© 1984 一般社団法人 日本歯科理工学会
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