歯科材料・器械
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原著
クロムコバルトおよびクロムニッケル合金鋳造体の電解挙動
高橋 英和
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1984 年 3 巻 1 号 p. 51-63

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抄録
近年, 歯科治療に非貴金属が多く用いられるようになっている.その非貴金属のうち鋳造用クロム系合金(Cr含有量0〜50%のCr-Co二元合金とCr含有量0〜20%のCr-Ni二元合金)を用いて, まず電圧-電流曲線と電位送り速度の関係を調べ, 再現性のある能率的な電位送り速度として35mV/minを選んだ.次に電圧電流曲線に及ぼす電解条件(極間距離, 電解面積, リン酸濃度と温度)熱処理の影響を調べ, 鋳造用クロム系合金の電解時の挙動を検討し以下の知見を得た.1.クロム含有量により電圧-電流曲線は大きく変化し, Cr含有量10%未満では電解溶出量が大きく, 耐食性との関連が考えられる.2.電解条件により電圧-電流曲線は変化する.a)極間距離(10〜40mm)の影響は少ない.b)面積が増大すると電流密度は減少するが, 特異点の電位は変化しない.c)リン酸濃度, 温度により大きく曲線は変化する.3.焼きなまし(900℃1時間)による電解挙動の変化は少ない.4.定電流回路では, 電解減量は時間とともに増大するが, 同じ電気量では電流密度が大きいほど電解減量は少ない.
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© 1984 一般社団法人 日本歯科理工学会
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