抄録
規格試験による石こう硬化時間と臨床的にみた操作時間を, 石こうの種類, 混水比および規格試験法について比較検討した.
1)混水比は, Type IIでは, 規格試験法および石こうの種類により大きな差が認められたが同一規格試験法での石こう間では一定の相関が認められた.Type IIIおよびIVでは, 相関性は認められなかった.
2)硬化時間は, 統一された混水比では石こうの種類に無関係にJIS, ISO, ADAの規格の順に遅延した.規格試験に従うと, Type IIのみADA, JIS, ISOの規格の順に, Type IIIおよびIVは, JIS, ISO, ADAの規格の順に遅延した.
3)操作時間は, Type IIでは2.20〜2.30分と短く, Type IIIおよびIVではType IIの3倍以上であった.
4)実用標準稠度を用いた場合の操作時間と硬化時間の相関性は, 硬化時間を基準とすると, Type IIでは約20〜31%, Type IIIおよびIVでは約53〜82%の値が操作時間であった.