シリコーンゴム硬化体の力学的性質とその分子網目構造との関連性を調べるために, 分子量や官能基数などの特性が異なるハイドロジェンポリジメチルシロキサンとビニルポリジメチルシロキサンを適当な組合せで混合硬化させた試料を用いて, 動的粘弾性測定と膨潤試験を行い, ゴム硬化体の貯蔵弾性率G'と損失正切tanδおよび網目鎖密度νを求めた.
その結果, ゴム硬化体のG'は網目鎖密度と比例的関係があり, tanδはゴム網目構造中の自由末端鎖と密接に関係していることがわかった.
このことからシリコーンプレポリマーの特性を変える, つまりシリコーンプレポリマーに分子設計を施し, ゴム硬化体の網目構造を調節することによって, 臨床用途に適した多様な力学的性質をもつ印象材が作り出せるものと思われる.