歯科材料・器械
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原著
放電加工を利用した歯科補綴物製作に関する基礎的研究
(第1報)各種歯科用合金の放電加工特性
稲用 隆史宮崎 隆鈴木 暎宮治 俊幸
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1987 年 6 巻 1 号 p. 37-42

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抄録
 近年, Co-Cr系合金, Ni-Cr系合金などの卑金属系合金の需要が高まっているが, これらの金属は融点が高く硬いので, 従来の精密鋳造法の適用や通常の機械加工では問題があった.そこで精度や機械的性質を落さずに, 卑金属系合金を用いて補綴物を製作するために, 放電加工法の適用を検討した.各種歯科用合金の加工特性について検討を加え, 二, 三の歯科技工への応用を試み以下の結論を得た.
 1.各合金間で最適な加工条件があり, Ag-In系合金は加工しやすく, Co-Cr系合金, Ni-Cr系合金は, Ag-Pd-Au系合金と同程度の加工性を示した.
 2.一般に加工速度が大きい条件では, 電極消耗比が小さく, 加工面粗さ, 加工クリアランスが大きい傾向を示した.
 3.安定な加工を行なうには, パルス幅, パルス休止幅, 衝撃係数を適正な値にする必要があった.
 4.放電加工を補綴物製作に利用した所, 複雑な形状のグルーブやホールを熱, 振動をほとんど与えずに精密に加工することができた.
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© 1987 一般社団法人 日本歯科理工学会
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