歯科材料・器械
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原著
コンポジットレジンの定量的細胞毒性試験法
黒木 賀代子内山 長司岡 知子井上 勝一郎寺下 正道
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1988 年 7 巻 4 号 p. 545-551

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抄録

L細胞の形態変化を生じた単層上の領域を測定することによって, コンポジットレジンの細胞毒性を定量的に比較することを試みた. 供試材料は, それぞれ指示条件下で硬化させた次の光重合レジンを用いた; Pyrofil Bond (I), Pyrofil Light Bond (Anterior) U (II), II にボンディング剤を塗布したもの (III) および Pyrofil Light Bond (Anterior) G (IV). 試料は直径5 mm, 厚さ1.5 mmとしたもので, これをカバーグラス(24 mm×32 mm)上に形成した単層の中心部に置いた. 24時間接触後, 細胞を固定し, ギムザ染色を施した. 細胞形態の変化は顕微鏡検査により, 1 (変化なし)〜 4 (完全な崩壊)の評点によって評価した. 次に評点分布図を作成し, 各評点の分布面積をパーソナルコンピュータを用いて測定した. 試料によっては評点分布が不定形で複雑な状況を呈したが, 両積測定値により細胞毒性を定量的に表現することが可能となった. 評点 3 と 4 の合計面積を細胞死滅面積とし, その百分率を毒性の指標とした. この値によると供試材料の細胞毒性は IV > III > I > II の順位であった. 本法は感度が高く, 判定に厳しい時間制限がないことから, 試料を多数比較する実験に有用であると考えられる.

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© 1988 一般社団法人 日本歯科理工学会
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