抄録
放電加工を応用して純チタン補綴物を製作するために, 型彫り放電加工とワイヤ放電加工による純チタンの放電加工特性に影響する因子について詳細な検討を行なった. また放電加工体の機械的性質や表面性状なども検討した. 型彫り放電加工では, 電極の極性と電流条件が加工特性に影響し, 正極性でパルス波高値16 A, パルス幅100 μsec, パルス休止幅60 μsecの条件が今回用いた放電加工機では実用的であることが判明した. また電極の材質も加工特性に影響するが, 銅でも他の電極と比べて純チタンの加工に十分使用できることが認められた. ワイヤ放電加工では, 純チタンはステンレス鋼と同じ電流条件で同程度の優れた加工特性を示した. 放電加工面は, 放電痕の集積の梨地面を示し, ワイヤ放電加工面は型彫り放電加工面よりも細かい梨地面を示していた. 放電加工体は電流条件に応じて表層直下に硬化層が認められたが, ワイヤ放電加工では硬化層はほとんど認められなかった. 放電加工体は良好な引張り強さと伸びを示した.