発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
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非行少年の「問題」はいかに語られるか : ある更生保護施設職員の語りの事例検討
松嶋 秀明
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2003 年 14 巻 3 号 p. 233-244

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抄録
非行少年の問題を研究するためには,少年の行為自体や,家族関係などに注目するだけではなく,そこに問題をみてとる側の視点に注目し,実践場面においてどのような知識が意味をもっているのかを調べること伝実践を反省的に見つめなおすためには有用であると思われる。本研究では,ある更生保護施設(A園)で,非行少年の更生・自立を支援する一人の実践家(N氏)のインタビューを,その実践についての観察記録とともに質的に分析した。そして,非行少年の問題が,いかに語りの中で構築されるのかを,実践との関連において検討した。インタビューには4つのテーマがあった。第1に,家族を非行化の原因とする語り,第2に,少年たちの親へ,わが子に対する教育の責任を問うこと,第3に,少年自身を基本的な生活能力を身につけていないものとすること,そして第4に少年との関わりについてであった。各々の特徴は,N氏やA園の実践を,聞き手に意味のあるものとして見せる語りロをとっていた。これらの語りはN氏の実践との関連において考察された。
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© 2003 一般社団法人 日本発達心理学会
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