発達心理学研究
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短大入学時の環境移行 : 気分の原因帰属を手がかりとしたモデル構築の試み
川野 健治佐藤 達哉友田 貴子
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1998 年 9 巻 1 号 p. 12-24

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抄録

本研究の目的は, 短大入学時の環境移行について日常的言語(Heider, 1958)としての気分とその原因帰属を手がかりに記述しモデル化することである。1991年の5月から7月にかけて, 毎週金曜目の4時問目にVisual Analog M∞d Scaleの記入とその気分の原因を尋ねた。これらのデータは, 有機体発違論的システム論的アブローチ(ワップナー, 1992)を前提として, 多元的志向性の変化の過程を語ったものとして分析された。記述は主に以下の4点からなる。(1)短大への移行過程は, 混乱期, 移行作業期, 課題期からなる。(2)短大への移行には4つのタイプ, すなわち乖離型, 受け身型, 積極型, 独自型が見られる。(3)時問の多元的志向性についてのデータは, 先の結果を支持する。(4)調査期問中の欠席についてのデータも同様に, 先の結果を支持する。これらの記述をもとにして, 移行過程の順序性と内的な「生活空問」を仮定し, 4つの主な作業仮説をもつ移行過程のモデルを示した。

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© 1998 一般社団法人 日本発達心理学会
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