【要旨】 「歯科口腔保健の推進に関する法律」(2011年施行)は,国民の口腔の健康保持や歯科疾患の予防を推進し,国民保健の向上を目的とするもので,これを受け全国で歯科保健関連の条例制定が進んだ.さいたま市もその流れに沿い,2012年12月に条例を制定し,口腔保健施策を強化している.
同法および条例では,障害者が歯科医療を受けやすい環境を整えるよう,地方自治体に対策が求められている.このため,さいたま市では「(仮称)さいたま市口腔保健センター」を整備することとなった.また,妊娠中の歯科疾患予防や高齢者の口腔機能の維持・向上に関する施策が法・条例に規定され,妊婦や71歳以上の高齢者を対象とした新たな歯科健診も開始されている.
このように,従来のライフステージに応じた歯科健診事業の延長上にありつつ,国会や地方議会の議論を経て制定された基本法や条例は,住民に身近な地方公共団体の歯科保健施策をさらに充実させる役割を果たしている.