日本歯科麻酔学会雑誌
Online ISSN : 2433-4480
総説
多成分系で複雑系の漢方薬で未来を築こう
新見 正則
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2025 年 53 巻 3 号 p. 105-109

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抄録

【要旨】 漢方薬の魅力は歯科医師・医師であれば創薬できることです.西洋薬の創薬は製薬メーカーしかできません.ところが生薬の足し算である漢方薬は,誰でもアイディアを出すことができます.そして歯科医師・医師であれば,患者さんに自分で創り上げた漢方薬を処方し,治療を行うことが可能なのです.西洋薬剤ですべてが解決できないときに,そんな領域を自身で創薬した漢方薬で治すことが可能なのです.

 自分で漢方薬を創薬するには,まず既存の漢方薬を使いこなせるようになりましょう.既存の漢方薬はこの数十年漢方エキス製剤という形で進歩しました.148種類の漢方製剤が保険適用されています.まず,その使い方を会得し,そして使用し,漢方エキス製剤では不足な部分を新しく創薬される漢方薬で補うのです.

 漢方エキス製剤は複数の生薬を煮出してエキス剤にしたものに賦形剤を加えてエキス製剤にしています.生薬を煎じるのであれば加減が可能ですが,エキス製剤では生薬の加減ができません.エキス製剤の登場で携行や保存,内服が容易になりましたが,一方の弊害としては漢方の進歩が止まりました.

 新しい漢方薬を作るには複数の漢方エキス製剤の併用,または漢方エキス製剤に生薬エキスを加えるなどでも可能です.一方で,まったく新しい生薬を見つけ,まったく新しい生薬の組合せを考案することも可能なのです.その延長には生薬と西洋薬の組合せも選択肢の一つになります.そして,歯科学・医学を含めたサイエンスは進歩するのです.

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