抄録
アメリカ合衆国(米国)には1980年当時,123社の航空会社があり,アメリカン航空(American Airlines, AA)はその中で中位クラスであったが,クランドール(Robert L. Crandall)が考え出した戦略的情報システム(Strategic Information System, SIS)により業績が上がり,他社を次々に淘汰した。AAのSISに気づいて戦略的に手を打ったユナイテッド航空とデルタ航空は生き残り,目先の戦術に追われた他社はことごとく倒産した。結局,米国の航空会社は3社系列にまで統合された。また,アメリカン・ホスピタル・サプライは独自の情報システムを用い,米国に2,000店あった医薬品医療機器流通業者を40店にまで淘汰した。このようにコンピュータシステムを戦略的に活用したSISの事例が研究された結果,事業を成功に導くには,好印象を持たれるように人の心に訴えることが重要だと考えられるようになった。