日本歯科医学会連合雑誌
Online ISSN : 2758-2388
Print ISSN : 2758-2396
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
解説
  • 住友 雅人
    2023 年 2 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の歯科専門医制度は昭和48(1973)年の日本口腔外科学会に始まるが,平成14(2002)年4月1日からの,医師または歯科医師の専門性に関し,基準を満たすものとして,厚生労働大臣に届け出がなされた団体の認定する資格名を広告できる告示から始まったといっても過言ではない。しかし,その広告は国民,そして対象となる団体である学会にも十分に活用されたとは言い難いものであった。医療制度では多種多様な広告が存在し,適正化を図るために「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」が厚生労働省から発出されている。専門医広告がなぜ存在するかというと,患者の疾病に対して適切な診断と治療が可能な医療機関そして専門医に正しくアクセスされるためである。この制度設計においてもプロフェッショナルオートノミーは欠かせないが,患者アクセスにおいて対応が十分であったとはいえなかった。そのために立ち上がった専門医機構も十分に機能していない面が見受けられる。これは専門医と厚生労働省との目的意識に実質上の乖離があるためではないかと考える。改めて原点に戻って取り組むことで,どのようにすれば国民が頼れる医療と医業との密接な体制が実現可能かのヒントをここに示す。
  • 大川 周治, 松村 英雄, 市川 哲雄, 馬場 一美
    2023 年 2 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    ジャーナル オープンアクセス
    一般社団法人日本歯科専門医機構(以下,機構)は,平成30(2018)年4月に創設され,令和3(2021)年10月の厚生労働省告示によって,機構の認定が歯科専門医制度の広告可能の条件となった。これを受けて,公益社団法人日本補綴歯科学会は,補綴歯科専門医制度(以下,本制度)が広告可能な歯科専門医制度として認定を受けるべく,特定非営利活動法人日本顎咬合学会との連携により,必要な資料を作成の上,機構の専門医制度整備委員会および専門医申請学会評価認定委員会へ提出した。意見交換会15回とヒアリング4回を経て,令和5年(2023)年5月24日,本制度が機構において認定されるとともに,同年10月12日,医政発1012第1号が厚生労働省から発出され,本制度が広告可能となった。本解説では,本制度が機構認定を受けるまでの道程とともに,新たな歯科専門医制度の設計および認定申請における要点等について述べる。
調査報告
  • 市川 哲雄
    2023 年 2 巻 1 号 p. 13-29
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/22
    ジャーナル オープンアクセス

    日本歯科医学会連合(以下,学会連合と略す)の臨床系会員学会の多くは,専門医および認定医制度を有している。前期(2019-2021年)の専門医制度委員会は,会員学会に対してその現状についての調査を2021年に行った。その結果を報告すると共に,学会連合が会員学会の専門医および認定医制度に対してどのような支援ができ,適切な歯科医療体制の構築を目指すことができるかを再確認する。

  • 酒井 有沙, 砂田 勝久
    2023 年 2 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/16
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:近年,歯科衛生士による局所麻酔行為が注目されている。しかし,歯科衛生士に対する局所麻酔の講義や実習の調査報告は少なく,教育実態が把握できていない。今回,歯科衛生士養成施設(以下,養成施設)における局所麻酔の卒前教育についてアンケートを実施したので報告する。
    方法:全国の177養成施設に対し,局所麻酔における講義および実習の教育実態についてアンケートを実施した。
    結果:回答は110施設(62.1%)から得た。講義は全施設で行われていたが,実習は臨床見学が多く,さらに養成施設の22.7%は局所麻酔実習を全く行っていないと回答した。浸潤麻酔と伝達麻酔の相互実習または臨床実習を行っている養成施設はなかった。
    結論:今後,歯科衛生士による局所麻酔行為を推進するのであれば,卒前教育として歯学部学生と同様のプログラムを用いた実習を行い,併せて偶発症発症時の対応を修得することが必要であると考えられた。
  • 冨士谷 盛興, 森尾 郁子, 關 奈央子, 保坂 啓一, 吉川 一志, 峯 篤史, 友田 篤臣, 川口 陽子
    2023 年 2 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/16
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:歯学領域の国際的人材育成に関する情報収集を目的に本調査を実施した。
    方法:日本歯科医学教育学会発行の『歯科医学教育白書』(計5冊)の国際交流に関するデータ、および2022年に日本歯科医学会連合が実施した調査をもとに、わが国の歯学領域における国際的人材育成のあり方について検討した。
    結果:わが国の29歯科大学で学ぶ外国人留学生数は、287名(2009年)、325名(2012年)、514名(2014年)、766名(2017年)、988名(2021年)と経時的に増加し、学士あるいは博士の課程を修めるアジア諸国出身者がいずれの年も90%以上を占めていた。一方、日本人教員等は概ね2年以内の期間、客員研究員、教員として海外留学しており、その留学先の90%以上が欧米諸国であった。
    結論:この国際交流の相違点を踏まえ、各国の歯科保健医療状況の相互理解を進めていくことが、わが国の歯学領域における国際的人材の育成、延いては国際化推進に寄与すると考えられた。
解説
  • 隅田 由香
    2023 年 2 巻 1 号 p. 44-53
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/08/18
    ジャーナル オープンアクセス
    超高齢社会に伴い頭頸部癌患者が増加し,顎顔面補綴治療を必要とする症例が増加している。顎顔面補綴治療は,各種顎顔面補綴装置を用いて頭頸部欠損患者の機能,整容性の回復および心理的改善を行うことを目的とする支持療法である。活用される顎顔面補綴装置は,用途および形態の双方においてバリエーションが広い。究極のオーダーメイドである顎顔面補綴装置の製作には,患者,歯科技工士,歯科医師の密なコミュニケーションが不可欠である。本稿では,下顎の特異性,下顎欠損症例に起こりうる事象,下顎欠損症例における下顎顎義歯の製作に要する技工操作の留意点を解説する。そして,筆者が考える解決すべき課題と今後の展望に触れる。
  • 佐藤 幸司
    2023 年 2 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/02
    ジャーナル オープンアクセス
    超高齢社会と共に高齢者歯科医療の充実が求められ,義歯の質的需要が高度化してきている。また,歯科医療現場では,高度に発達した医療技術の進歩により,無歯顎者の疾病構造が著しく変化してきている。デジタルによる義歯製作はより簡便で,客観的な根拠に基づく効率的な義歯の製作システムと供給体制が求められている。そこで,本稿では,研究用模型を解剖学的,生理学的に分析,解析し,個人トレーの外形線の設定の客観的基準となる解剖学的ランドマークのガイドラインについて解説する。
  • 金谷 貢, 青栁 裕仁, 髙 昇将, 三井田 慶斗, 泉 健次
    2023 年 2 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル オープンアクセス
    アメリカ合衆国(米国)には1980年当時,123社の航空会社があり,アメリカン航空(American Airlines, AA)はその中で中位クラスであったが,クランドール(Robert L. Crandall)が考え出した戦略的情報システム(Strategic Information System, SIS)により業績が上がり,他社を次々に淘汰した。AAのSISに気づいて戦略的に手を打ったユナイテッド航空とデルタ航空は生き残り,目先の戦術に追われた他社はことごとく倒産した。結局,米国の航空会社は3社系列にまで統合された。また,アメリカン・ホスピタル・サプライは独自の情報システムを用い,米国に2,000店あった医薬品医療機器流通業者を40店にまで淘汰した。このようにコンピュータシステムを戦略的に活用したSISの事例が研究された結果,事業を成功に導くには,好印象を持たれるように人の心に訴えることが重要だと考えられるようになった。
feedback
Top