日本歯科医学会連合雑誌
Online ISSN : 2758-2388
Print ISSN : 2758-2396
解説
歯科専門医制度 温故知新
住友 雅人
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 2 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
日本の歯科専門医制度は昭和48(1973)年の日本口腔外科学会に始まるが,平成14(2002)年4月1日からの,医師または歯科医師の専門性に関し,基準を満たすものとして,厚生労働大臣に届け出がなされた団体の認定する資格名を広告できる告示から始まったといっても過言ではない。しかし,その広告は国民,そして対象となる団体である学会にも十分に活用されたとは言い難いものであった。医療制度では多種多様な広告が存在し,適正化を図るために「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」が厚生労働省から発出されている。専門医広告がなぜ存在するかというと,患者の疾病に対して適切な診断と治療が可能な医療機関そして専門医に正しくアクセスされるためである。この制度設計においてもプロフェッショナルオートノミーは欠かせないが,患者アクセスにおいて対応が十分であったとはいえなかった。そのために立ち上がった専門医機構も十分に機能していない面が見受けられる。これは専門医と厚生労働省との目的意識に実質上の乖離があるためではないかと考える。改めて原点に戻って取り組むことで,どのようにすれば国民が頼れる医療と医業との密接な体制が実現可能かのヒントをここに示す。
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