物理療法科学
Online ISSN : 2758-1063
Print ISSN : 2188-9805
症例報告
反対側下肢に対する経皮的電気刺激により幻肢痛の軽減を認めた一症例
脇本 謙吾唄 大輔前谷 朱美徳田 光紀
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 24 巻 1 号 p. 37-40

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抄録

今回は,義足装着時のみに幻肢痛を認める症例に対して経皮的電気刺激(TENS)の鎮痛効果の検証と痛みの解釈の検討を行ったので報告する.本症例の幻肢痛は,健側の糖尿病性神経障害による痛みと質,部位共に類似していた.方法は,ABAデザインを用い,A期にはプラセボTENS介入,B期にはTENS介入をそれぞれ3日間ずつ実施した.TENSには電気治療器(ESPURGE)を用い,パラメーターはパルス幅150μs,周波数100~250Hzの変調モードに設定し,治療は1日1回30分を同時間帯に実施した.電極の貼付部位は,幻肢痛出現部位及び,断端部と同部位にあたる対側下肢の計4ヶ所とした.幻肢痛の評価としてNRSを用い,痛みの認知的側面に対し破局的思考尺度(PCS)を用いて評価した.TENS介入にて鎮痛効果を認め,鎮痛に伴いPCS得点にも低下を認めた.結果から,本症例の幻肢痛に対する健側へのTENSの有効性と,鎮痛に伴う痛みの認知的側面への効果が推察された.

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© 2017 一般社団法人 日本物理療法学会
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