2018 年 25 巻 1 号 p. 06-10
近年,多くの基礎および臨床研究により脳卒中後の運動麻痺や痙縮等の病態メカニズム解明に向けた知見がアップデートされている中,電気刺激を含むリハビリテーション介入もより適応を明確化するために洗練される必要があると考えられる.しかしながら,電気刺激の特性を最大限生かしつつ,種々の障害の病態メカニズムにあわせて介入している研究はいまだ少ないのが現状である.我々はガイドラインやランダム化比較対照試験の結果のみを安易に解釈/流用することに注意が必要であり,電気刺激がより効果的かつ適切に使用されていくためには,まず適応となる対象者の詳細な病態分析から仮説検証的に適切なアウトカムをもって効果判定していくプロセスの累積が重要である. 本稿では,脳卒中後生じる運動麻痺,痙縮といった主要な障害に焦点をあてて,その病態メカニズムを分析したうえで,仮説検証的に電気刺激の介入により効果検証を行っている取り組みを提示する.