物理療法科学
Online ISSN : 2758-1063
Print ISSN : 2188-9805
原 著
廃用性筋萎縮に対する神経筋電気刺激とパルス磁気刺激の比較検証
中西 亮介平山 佑介田中 稔小野 紘平池治 拓也前重 伯壮藤野 英己
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 25 巻 1 号 p. 57-62

詳細
抄録

神経筋電気刺激(NMES)は筋収縮を誘導し,廃用性筋萎縮を予防することが知られている.一方,パルス磁気刺激(MS)も筋収縮を誘導する方法の一つとして知られているが,NMESとの廃用性筋萎縮に対する予防効果を比較検討した報告はみられない.そこで,本研究では廃用性筋萎縮に対するMSの予防効果を組織学及び分子生物学的手法を用いて,NMESと比較検証した.雄性Sprague-Dawley系ラット15匹を用い,これらを通常飼育を実施した対照群(CON),2週間の後肢非荷重群(HU),後肢非荷重期間中に後肢に介入を実施した群に区分した.介入を実施した群は左側後肢にNMESを実施し(HU+NMES),右側後肢にMSを実施した(HU+MS).介入期間終了後にヒラメ筋を採取して,筋湿重量を測定した後にHE染色及び筋線維横断面積(CSA)の測定を行った.また,Western blotting法で筋中のMuRF-1タンパク発現量を測定した.HU+NMES群のCSAとMuRF-1タンパク発現量はHU群と比較して有意差を認められなかった.HU+MS群のCSAはHU群と比較して有意に高値を示した.さらに,HU+MS群のMuRF-1タンパク発現量はHU群と比較して有意に低値を示した.本研究の結果からNMESは不活動に伴う廃用性筋萎縮に対する予防効果を示さなかったが,MSは十分な予防効果を示すことを明らかにした.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本物理療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top