2022 年 29 巻 1 号 p. 77-82
本症例研究では,脊椎椎体骨折受傷後の早期リハビリテーションで生じる骨性疼痛に対して,離床や運動療法にTENSを併用した場合の有効性について検討することを目的とした.神経症状を伴わない骨粗鬆症性の第9胸椎と第2腰椎椎体骨折と診断され,当院回復期リハビリテーション病棟へ入棟となった70歳代後半の女性を対象とした.研究デザインはABABデザインを採用し,A期とA´期を基礎水準期,B期とB´期をTENS併用期とした.ベッド上での座位保持時とベッド上での起き上がり動作時の疼痛(NRS),ベッド上での起き上がり動作時間は,B期において治療前後の改善の程度が大きかった.また,ADLおよびQOL(オズウェズトリ―腰痛障害質問票(ODI))において,A期からB期ならびにA´期からB´期にかけて継続的な改善が認められた.これらの結果より,受傷後早期から離床や運動療法にTENSを併用すると,経過において有害な作用は与えずに, 脊椎椎体骨折受傷後急性期の骨性疼痛の鎮痛やADLならびにQOLの改善に有効である可能性が示された.