抄録
近年のいじめを理由とする自殺事件の多発により,いじめ問題への対策が様々講じられており,いじめ
を早期に発見し,適切に対応することが求められている。本研究では,(1)学級集団の状態といじめの発生
率,(2)学級集団の状態と教師のいじめ未チェック率,について明らかにした。その結果,学級集団の状態
によっていじめの発生率は大きく異なり,満足型学級が最もいじめが少なく,管理型,なれあい型,荒れ
始め型では,いじめが多発しているということが明らかになった。また,いじめを受けていると認知して
いる児童生徒が教師によって発見されているか否かを照合したところ,管理型学級では小学校中学校とも
に約半数の児童生徒が教師に気づかれないままになっており,なれあい型学級では小学校で70%,中学校
でも56%の児童生徒が見過ごされていることが明らかになった。つまり,学級集団を形成する教師の学級
経営のあり方は,学級内のいじめ問題も大きく左右すると考えられる。よって,いじめの問題と学級経営
のあり方とを結びつけて予防や対応を図ること,児童生徒の教育効果が高い満足型の学級を育成していく
ことが同時にいじめの予防として重要になってくると考えられる。