抄録
本研究では,我が国の学校教育現場における非社会的行動に焦点を当て,特別な支援を要する小・中学生
への教師による介入事例の成果を整理した。分析対象(学齢・障害の有無等),非社会的行動の種類,技法ご
とにカテゴリ間の度数や効果の大きさについて検討した。その結果,学齢では「小学生」と「中学生」の差は
なく介入事例が積まれているが,障害の有無では「定型発達の子ども」,問題行動では「不登校に関するもの」,
技法では来談者中心主義的アプローチにおいて多く実践されていることがχ2検定で明らかになった。一方,
カテゴリ間の効果の大きさについては差異が見られなかった。しかし,報告されている研究の度数や効果量
の数が多くないために,十分に検討できたとは言い難いところがある。今後は各学校で刊行されている紀要
等を含め,より幅広く研究を収集し,再検討すべきであろう。