小児心臓外科手術における人工心肺導入時は高度な血液希釈が生じやすく、回路の低充填量化のみでは輸血回避に限界がある。順行性自己血充填(antegrade autologous priming:AAP)は、人工肺出口を遮断した状態で自己静脈血により回路内充填液を順行性に置換し、希釈を抑制する手技である。本研究では体重13~20kgの小児20例を対象に、AAP施行群10例と非施行群10例で比較検討した。AAPにより平均118.0mLの充填液が回収され、AAP施行群では人工心肺開始直後からICU退出時までヘマトクリット値が有意に高値で推移し、人工心肺後希釈率および術中水分バランスは低値を示した。AAP非施行群では病棟にて2例で輸血を要した。AAPは小児人工心肺において充填量削減と希釈抑制に寄与し、輸血回避に有用である可能性が示唆された。