2000 年 27 巻 1 号 p. 52-54
【要旨】維持透析患者に対する大動脈弁置換術(AVR)後の再開胸止血術に,持続的緩徐式血液濾過透析(CHDF)を施行して血行動態を良好に管理し,大量輸血に伴う合併症を回避し得た症例を経験した。症例は66歳男性で,AVR直後にICUで多量の後出血を認め,再開胸止血術を必要とした。止血術中は2lを越える輸血を要し,溢水や脱水に加え,高カリウム血症や酸塩基平衡異常などの輸血合併症の発生が危惧された。そのためCHDFを積極的に使用することで,水分管理が容易となり安定した血行動態が得られ,同時に輸血合併症も回避できた。