体外循環技術
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脳分離体外循環中の左右別脳酸素飽和度測定について
深谷 隆史目黒 勉
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2000 年 27 巻 4 号 p. 27-30

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抄録

【要旨】左右脳内組織酸素飽和度(rSO2)を,非侵襲的にモニタリングできるTOSTEC社製TOS-96を使用し,脳分離体外循環(SCP)症例について,左右rSO2,rSO2左右差,HbIについて比較検討した。8症例のSCP中のrSO2の変化の特徴として,L-rSO2の上昇を5例に認め,左総頚動脈血流は十分維持されていたと考えられたが,R-rSO2の低下を5例で認め,腕頭動脈送血は,右鎖骨下動脈への分岐により右総頚動脈の血流量低下が惹起されていると考えられた。また,左右差の増大傾向を7例に認め,one-pump送血での問題点も示唆された。合併症として2例に術後一過性の痙攣を認め,2例に反回神経麻痺を認めた。術後痙攣を起こし,HbIが高値を示した症例(5) は,術後CTにより出血性梗塞を認めた。その他の症例では,術後経過・術後CTでも顕著な神経学的所見はなく,SCPが適正に行われていることが示唆された。今回の検討では,安全範囲を見い出すまでには至らなかったが,rSO2は,50%を下限と考えモニタリングを行っている。

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© 日本体外循環技術医学会
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