体外循環技術
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PCPSのシャント回路開放について(第2報)
安野 誠斉藤 知義中嶋 勉遠藤 裕介
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2002 年 29 巻 3 号 p. 322-325

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抄録
テルモ社製エマセブは, PCPSを普及させたシステムであるが,人工肺の膜面積が小さいこと,熱交換器がないなどの欠点もあった。今回,これらの欠点を補う回路を考案し,46歳男性の急性心筋梗塞に対して,緊急POBAを実施後, PCPSを開始した。回路の特徴は,人工肺出口と遠心ポンプ入口の2カ所に流量測定セル,動脈フィルタの装着,回路交換用に,動脈・静脈回路に二股の部分を設けた。 PCPSは10時間で酸素化能が低下した。酸素化対策は送血と脱血間にシャント回路を設け,熱交換器テルモCX-CP50を装着した。シャント回路を開放することによりシャント回路3L/min,人工肺6L/minで灌流された。酸素濃度100%,PaO2が150mmHgが370mmHgに改善した。また,体温は腋下温度36℃に管理できた。最初の回路は66時間使用でき, PCPSは134時間で離脱できた。エマセブはPCPSの導入が行いやすく,付属回路を設けることで酸素化能,体温管理,回路交換などで機能の向上が認められた。
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© 日本体外循環技術医学会
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