体外循環技術
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体外循環中のMIP-3alphaとIGF-I の血中動態の検討
伊藤 康宏石川 隆志米倉 麗子山内 章弘海江 田章豊崎 正人三澤 健治秋山 玲奈石川 正敏日比谷 信服部 良信
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2004 年 31 巻 2 号 p. 133-135

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抄録

マクロファージ炎症性タンパクMIP-3alphaは,近年同定された4つのシステイン残基を持つC-Cケモカインである。MIP-3alphaはマクロファージによって産生され,T細胞,B細胞,樹状細胞にあるCCR6レセプターと結合して炎症反応を誘導する。一方,インスリン様成長因子IGF-Iはインスリンと非常に類似した構造を持つ増殖因子で,肝臓や骨格筋などで産生される。このIGF-Iは成長ホルモン存在下で障害心筋細胞を改善することが知られている。今回,体外循環下で開心術を施行した13症例の血中MIP-3alphaおよびIGF-Iを測定した。MIP-3alphaは麻酔直後から増加し,ピークは硫酸プロタミン投与15分後であった。一方,IGF-Iは麻酔直後からやや減少したが,硫酸プロタミン投与15分後まで変化はなかった。体外循環下開心術に伴う侵襲においてMIP-3alphaは血中動態の違いからサイトカインより特異な指標であることが示唆された。また,IGF-Iの血中動態から,現在の体外循環下開心術が肝細胞を含む多くの細胞組織に著しい障害を与えていないことが示唆された。

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© 日本体外循環技術医学会
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