体外循環技術
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異なる置換液による新生児・乳児体外循環血液濾過法の実験的検討
開 正宏山鹿 章清末 智服部 敏之中山 雅人堀田 壽郎
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2005 年 32 巻 1 号 p. 53-56

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抄録
【要旨】新生児・乳児開心術における体外循環施行時は,人工心肺初期充填血液洗浄法,DUF,MUFなどの血液濾過法を用いることが多い。その際,濾過型腎臓用補液を使用することが多いが,現在心臓手術時には保険請求できないため,施設の負担となっている。今回我々は,濃厚赤血球MAPに対して濾過型人工腎臓用補液サブラッドBDに補正を加えた液(subloodB+α),酢酸リンゲル液ヴィーンFに補正を加えた液(Veen-F+α),乳酸リンゲル液ラクテック(Lactec)を用いて血液濾過(HF)をin vitroにて施行し,性状を測定した。その結果subloodB+α とVeen-F+α でHFを施行したMAPのNa+,K+,Ca++,HCO3-,ブドウ糖値は臨床使用上に問題がない数値に補正された。LactecでHFを施行したMAPの乳酸値が23mmol/Lを示したことは,Veen-F+α でHFを施行した酢酸値も同様に上昇していると推測され,浸透圧からも計算できる。これは新生児・乳児に対する影響も無視できず,酢酸理論値の低い濾過型人工腎臓用補液が置換液としては最適であると考える。
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© 日本体外循環技術医学会
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