体外循環技術
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体外循環用血液回路からの可塑剤溶出の基礎的検討
― DEHPとTOTMの溶出の比較―
日比 谷信渡邉 浩次井平 勝石川 隆志山内 章弘海江 田章豊崎 正人三澤 健治榊原 未和石川 正敏杉森 美幸山本 賢石田 沙織服部 良信伊藤 康宏
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キーワード: 体外循環, 血液回路
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2006 年 33 巻 1 号 p. 16-19

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抄録

【要旨】体外循環に関わる血液回路では,可塑剤としてDEHPの代わりにTOTMを使用する商品が市場に提供されてきている。TOTM濃度測定の方法を確立し,軟質塩化ビニルチューブからのDEHPとTOTMの溶出量を比較検討した。DEHPを含有するチューブ2種類(DEHP群)とTOTMを含有するチューブ4種類(TOTM群),計6種類のチューブそれぞれに5mLの牛血清を封入し,37℃ 下に置き,2時間後および6時間後のDEHP濃度およびTOTM濃度をHPLCにて測定した。DEHP群の2時間後および6時間後のDEHP溶出量は,TOTM群のTOTM溶出量の,それぞれ約100倍,約200倍でTOTM群はDEHP群に比べ有意に低かった。時間経過に伴いDEHP群,TOTM群ともに溶出増加率は低下しているが,DEHP群では有意な差は認められなかった。一方,TOTM群では有意に低下した。TOTMは長期間使用による可塑剤被爆の低減に有効な物質と考えられる。

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© 日本体外循環技術医学会
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